小学校教育 サブコース
1系(教科探究系)
小中9年間を系統的に理解する
1系「教科探究系」では、小学校から中学校までの9年間にわたる教科学習を見据えた専門性を養います。中学校や高等学校の学びを理解した小学校教員は、現在導入が進んでいる教科担任制や小中一貫教育の現場で必要とされています。この1系では、「小中カリキュラム研究」などの独自科目を通じ、各教科の学習内容や授業方法を、9年間を見通して学びます。
高い教科専門性を身につける
小学校では、国語、算数、理科、社会、英語、体育、音楽、家庭科、図画工作など、さまざまな教科を指導します。それぞれの教科は独自の意味や価値を持ち、学び方も異なります。1系では、こうした教科の学びを支えるための高い専門性を養成します。中等教育コースとの密接な連携により、教科ごとの専門性や授業方法を学べるカリキュラムを提供しています。
主体的で協働的な授業を実践する
「初等授業研究」では、中等教育コースの学生と協力して各教科の授業研究や実践を進めます。学習内容の深い理解を基盤に、質の高い授業を計画する力を養います。また、現場での参観や模擬授業を通じて、児童とのコミュニケーションを図りながら、実際の学習場面を作り上げていく授業実践力を身につけます。
2系(子ども理解系)
子どもの成長を深く学ぶ
2系では、小学校の全教科を学びながら、幼児期からの子どもの成長についてもじっくりと学びます。子どもたちは入学する時点で多くのことを家庭や幼稚園で学んでいます。幼児期にどのように成長し、どのような教育を受けてきたのかを理解することで、幼児期の遊びから小学校以降の学びへのスムーズな移行を支える教員を目指します。さらに、大学での講義に加え、幼稚園や小学校で子どもの遊びや学びを観察し、その理論的背景を学びます。
子どもの成長を支える遊びと学びの場を創造する
2系では、子どもたちの遊びや学びの場を創り出す力を育てます。例えば、幼稚園で継続的に観察を行った学生が、異年齢の子どもたちが自然に学び合う遊びの場を発見し、室内遊びにおいては学年ごとにグループ化されることも観察しました。異年齢の交流を促進するために「オリジナル電車」を作るアイデアを提案し、子どもたちと一緒に製作を行うなど、現場と学びを行き来しながら子どもの成長を支える環境づくりを実践しています。
視野を広げる学びの場
福井大学教職大学院が主催する「実践研究福井ラウンドテーブル」には、多くの教育学部の学生が参加し、現職教員や地域の教育関係者から実践的な知識を得ています。学生たちは、大学で学んだことが将来の教育現場でどのように活かされるのかを学び、視野を広げる貴重な機会となっています。他の大学の学生とも交流し、教育に対する理解をさらに深めます。
サブコース・系 共通科目
「子どもと人間関係」
「子どもと環境」
「子どもと表現」
3系(学校・地域連携系)
地域と連携して主体的に生きる子どもを育む教員を育成
3系「学校・地域連携系」では、地域の協力を得ながら、小学生が地域での自然体験やボランティア活動、ものづくりなどを通じて、社会で主体的に生きる力を育てる教員を養成します。急速に変化する社会に対応し、自ら考え、問題解決を図る力を持つ子どもたちの育成を目指しています。
地域の教育力を活かし、協働型の学校づくりを推進
3系では、地域の教育資源を積極的に活用し、体験活動や観察、調査、討論などを通じたアクティブな学びを取り入れた指導力を養います。地域のステークホルダーを指導者として招き、異学年集団による学習形態を活かした教育を展開し、実践力のある教員を育成します。地域課題を発見し、解決する過程で、考える力や判断力を養い、教育現場で実践できる力を育みます。
複数免許の取得
3系では、卒業要件の小学校1種免許に加えて、中学校1種免許の取得を推奨しています。さらには、中学校の2教科目の2種免許や特別支援学校2種免許の取得についても奨励しています。学校と地域の連携を担当する教員には、幅広い知識と行動力が必要と考えており、2教科あるいは特別支援教育など複数の専門性を持つ小学校教員の育成を目指しています。
サブコース・系 共通科目
「学校・地域連携系共通科目A 入門コース」
「学校・地域連携系共通科目B 実践コース」
1~4年次の特徴的な取り組み
【1年次】
「地域連携カリキュラム研究Ⅰ」(必修)
学校・地域連携の必要性の背景と制度について、国や福井県の政策から先進地域の取組を学んだ後、大学の教室を飛び出して、学校‐地域連携の実際や、県内の地域資源の実際を、自分たちの足と目と頭を使って現地で確かめることから始め、これらの事例を大学の教室に持ち帰り、省察していきます。
【2年次】
「地域連携カリキュラム研究Ⅱ」(必修)
合宿形式のプログラム開発と「総合的な学習の時間」1年間の単元開発
嶺南地域での2泊3日の合宿研修を通じて、学校‐地域連携を推進する「学校側」と学校を受け入れる「地域の側」の考え方や実際の取組を現地で学びます。この合宿では、学校-地域連携教育で活用可能な地域資源を複数訪問調査し、その中から1つの地域資源を選択して、その資源を活用する学校-地域連携教育プログラムの開発にチームで取り組みます。開発プログラムは現地のステークホルダーに対してプレゼンテーションを行い、評価も受けます。
この授業(兼、2年間の授業)のまとめは、地域資源を活用した小学校の「総合的な学習の時間(約50時間分)」の単元計画を立案することです。かなり大変ですが、これまでの学習で培ってきた力を統合して、計画から評価までを含む臨場感のある計画に仕上げていきます。
【3年次】
「地域連家カリキュラム研究Ⅲ」(選択・通年)
ファシリテーション力と学校-地域連携教育研究基礎力up!
前期は、主に、合宿研修です。2年生が初めて作成する「地域連携教育プログラム」の作成支援を行いながら、異なる地域の学校‐地域連携教育についてより深く学んでいきます。
後期は、学校‐地域連携教育の事例を、学術論文や実施報告書調査をもとに学び、現在、学校地域連携教育で何が求められ、何が課題となっているかを洗い出します。
【4年次】
3系を選択した学生は、2つのタイプの卒業研究が可能です。
- Point1 マンツーマンまたはチームでの卒論指導体制!
- Point2 教材開発から組織・制度研究まで幅広い研究テーマの選択が可能!
1つは、学校-地域連携教育に関するものです。この場合、この系の担当教員9名のうちの一人が主査となりチームを組んで指導を担当します。
もう1つの選択肢は、自身が取得を予定している教科内容を対象とした卒業研究です。この場合、この系の教員を含め、各教科の専門教員の指導を受けることができます。
4年次の卒業研究のテーマを広く選択できることが3系の特徴の1つです。