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研究テーマ |
テーマ@ 心理的プレッシャー下における運動制御機構の機能変化 |
スポーツの試合場面における心理的プレッシャーの克服は、多くのスポーツ選手が抱える大きな悩みです。本テーマでは、プレッシャー下ではなぜ普段通りのプレーが出来ないのかに迫ることを目標に、プレッシャー下でスポーツ動作から日常生活動作に至るまでの様々な運動技能を遂行するときの運動制御機構の機能変化の解明を試みています。経頭蓋磁気刺激報(TMS)による運動誘発電位(MEP)、ならびに脊髄反射(H反射)を記録することで、高次中枢(大脳皮質)から低次中枢(脊髄)に至るまでの運動神経の興奮性を調べ、さらには筋電図(EMG)や動作解析による末梢での運動出力、ならびにパフォーマンス結果(成績)を詳細に調べています。
スポーツにおける「あがり」に関するこれまでの多くの研究では、認知的、生理学的、運動学的側面から「あがり」が生じる原因や、「あがり」時の症状を調べることが研究目的の中心でした。上に説明したテーマ@の研究もその一部と捉えることができます。このような研究から得られている知見をベースに、どのように「あがり」を適切に防ぐことができるかについての研究は、非常に大事な研究なのですが、実はここ数年で徐々に発展してきている研究分野になります。いよいよ?ようやく?といった感もありますが、当研究室でも今年度より本格的に、「あがり」の対処法に関する研究を実施して参ります。これまでの「あがり」に関する原因や症状を調べた先行研究から得られている知見を十分に活かし、認知的、運動学的、神経生理学的アプローチから、様々なスポーツ種目や運動技能に対して適切な対処法を構築し提案していけることを目標としています。
テーマB 注意および感情の変化による運動制御機構の機能変化 |
スポーツ時や日常生活において、我々は様々な心的変化が生じる中で最適な運動行動をとり、目標とするパフォーマンスを発揮することが求められます。集中力、怒り、恐怖などの言葉に代表されるように、注意と感情はこれに関わる主要な心理的要因であり、運動パフォーマンスを促進させる場合もあれば、阻害させる場合もあります。本テーマでは、この背景にある運動制御メカニズムを明らかにすることを目標に、注意の変化(内的注意と外的注意)、ならびに感情の変化(快感情と不快感情)を実験的に誘発し、そのような心的変化が生じる中で力発揮やバランス運動といった運動課題を実施させ、そのときの脊髄反射、筋活動、バランス能力といった運動制御機構の機能変化を詳細に調べています。
テーマC tDCSによる大脳皮質の興奮性調節が運動技能に及ぼす影響 |
大脳皮質の興奮性を局所的に促通もしくは抑制させるためのツールとして、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)が神経生理学ならびにリハビリテーション分野で注目されています。現在、基礎研究段階として、脳卒中やジスとニアなどの運動障害の回復や、うつ病や認知症などの精神障害の回復に対するtDCSの効果が数多く報告されています。本テーマでは、tDCSをスポーツ科学分野にも応用させるための基礎研究として、運動機能の司令部ともいえる大脳の一次運動野の興奮性を局所的に促通もしくは抑制させ、そのときの運動パフォーマンスや、その背景にある筋活動、キネマティクスを詳細に調べています。将来的には、疲労回復、スポーツ傷害による運動機能の回復、イップスなどの精神・神経的問題への応用を考えています。同時に、スポーツにおけるドーピングにも発展しうる手法であるため、その基礎データの提供という意義も持ち合わせています。
テーマD アスリートの競技力向上に対するメンタルサポート |
心技体という言葉にもあるように、スポーツ選手の競技力向上や試合における実力発揮には、スポーツ科学に関する様々な分野のサポートが必要であり、メンタルサポートもその1つである。集団でのメンタルトレーニング講習会、競技力向上や心理面の課題に関する個人相談、練習場面や試合場面に帯同してのサポートなどの様々な形式を活用し、本研究室ではスポーツ選手に対するメンタルサポートを実施しています。
<以前のサポート活動>
・ライフル射撃ナショナルチーム選手
・フットサル社会人チーム JOGARBOLA (2012年度北信越リーグ優勝) <チームのHPへリンク>
・アミノヴァリュー・ランニングクラブin福井(AVRCinFukui)
・福井県スポーツ医科学センターにおける心理相談
・プロゴルファー、プロゴルフ研修生、アマチュアゴルファー
・大学男子バスケットボール部
・高校男子バスケットボール部
・サッカーユースチーム
・企業研修
・高校や中学における受験対策
田中ゆふ先生(近畿大学)・藤井純一先生(株式会社A・S/北海道日本ハムファイターズ)との共同研究
スポーツ選手にとって、技能の停滞や後退現象であるスランプは、試合に出られない、充実した競技生活を送れないなどの様々な問題を生みます。プロスポーツ選手においては引退の危機にも発展し得る、特に重要な問題でもあります。このようにスポーツの現場において重要視されている問題ではありますが、スランプに関する学術研究はあまりなされていません。本テーマでは、プロスポーツ選手や大学生スポーツ選手に対して、質問紙法を用いて不調時の心理面、体力面、技術面、生活面に関する調査を行うことでスランプの原因を探り、それを基にスランプを回避あるいは脱出するための考察や提案を行っています。
研究やメンタルサポートに関する相談・問い合わせは、
メール・お電話・ファックスでお気軽にご連絡ください。
TEL&FAX 0776-27-8799
E-mail tnk_at_u-fukui.ac.jp(_at_を@に変えてください) |
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